10月/風透き通る

10月。
昼間にはまだ夏の名残が顔をのぞかせ、時おり汗ばむほどの陽気が残っています。
けれども、朝晩の空気は日に日に澄みわたり、風そのものが透き通ってきたように感じられる季節となりました。
頬をかすめる風は軽やかで、夏の熱を運び去り、心の奥に静かな清涼をもたらします。

10月6日は中秋の名月。
「中秋の名月」とは、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことです。実際の満月と日付は1日ずれています。

太陰太陽暦では、新月(朔)の瞬間を含む日が、その月の朔日(ついたち)になります。今年は10月6日が太陰太陽暦での8月15日となるため、今日が中秋の名月というわけです。

一方、天文学的な意味での満月は、地球から見て太陽と反対方向になった瞬間の月のことで、満月の時刻は、10月7日12時48分です。

今年は、中秋の名月の近くに土星が見えます。満月に近い月は、とても明るいため、土星(0.6等)はやや見づらいかもしれませんが、月を見上げた際には、土星も探してみてください。

「風透き通る」とは、秋の大気が澄み切り、空も光も風までも透明に感じられること。満月が昇る夕刻には、さらに風は透き通ってくるでしょう。

運もまた、風のように澄みわたり、月のように満ち欠けを繰り返します。
一度で完結するのではなく、もう一度、巡ってくることで本当の豊かさに気づける――
10月はそんな「もうひとつの兆し」を受けとめる時期なのかもしれません。

◆ 七十二候の移ろい(10月)

新暦に合わせています

寒露(かんろ・10/8頃)
鴻雁来(こうがんきたる):雁が北から渡ってくる
菊花開(きくのはなひらく):菊の花が咲き始める
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり):キリギリスが戸口で鳴く

霜降(そうこう・10/23頃)
霜始降(しもはじめてふる):霜が降り始める
霎時施(こさめときどきふる):小雨がしとしと降る
楓蔦黄(もみじつたきばむ):楓や蔦が黄葉し始める

◆ 今月の天体・暦


2025年10月の新月・満月
それぞれの意味や星座別の影響などは別の記事で説明していきます。
牡羊座の満月/10月7日(火) 12時48分頃
天秤座の新月/10月21日(火) 21時25分頃

10月には レモン彗星(C/2025 A6) が注目されています。
土星 は宵の時間帯に比較的見やすくなってきて、環の見え方を観察するチャンス。
月と土星が近づく日があり、月の近くでの惑星との接近が観察できるようなタイミングも。
満月はハーベストムーンと呼ばれる月。
惑星では、金星・木星との月の接近も天文サイトで掲載されています。

◆ からだの整え

  • 昼夜の寒暖差が大きく、乾燥も始まる時期。
  • 肺や気管支に負担がかかりやすいので、呼吸を深める習慣(軽いストレッチ、白湯、蒸しタオル吸入など)が◎。
  • 食材では 梨・大根・れんこん が「潤い」を補ってくれる。
  • 金木犀の香りは自律神経を整え、気持ちをリフレッシュさせる香り療法にも。

◆ 暮らしの知恵

  • 七十二候で「菊花開」「楓蔦黄」――庭や道端の小さな変化を感じると、心のリズムも整う。
  • 衣替えの時期でもあるので、風を通してから収納・着替えることで邪気を祓う意味も。
  • 十三夜(後の月)には栗や豆を供えて月を愛でると、豊かな実りを呼び込むと言われる。

◆ 運のめぐりと願いごと

  • 「風澄む」=心の曇りを払うチャンス。
  • 願いごとは「軽やかにしておきたいこと」「澄み切った未来のイメージ」にすると後押しが強い。
  • 後の月は「もう一度訪れる満ちのとき」。途中で諦めていたことに再挑戦する願いにも吉。
  • 彗星や惑星の接近がある今月は、遠いものと近いものが結ばれるイメージ → ご縁や再会、復活の流れを願うとよい。
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