11月/灯のひそみ

今月の暦と季節のめぐり

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11月。陽が沈む時刻がどんどん早まって、暗くなるのがとても早く感じるようになりました。
夕方、急に暗くなるあの瞬間。空の色が群青に変わる前の薄暮(はくぼ)の時間帯、家々の窓に灯りがともり、その光が潜むような時間。
また、夏の力を秘めた灯は消え、内面の灯りが見えてくる時期でもあります。
かつてこの月は「霜見月(しもみづき)」と呼ばれました。霜が降りる白さのなかで、世界が一度静まり返り、その静けさに耳を澄ませば、心の奥の灯がふっと見えてくる・・・・・

見えないところで、次の芽が準備をはじめる月。
焦らず、急がず、静けさの中であたためること。
運のめぐりは、冬至へ向かう沈黙のなかでも確かに息づいているのです。

◆ 七十二候の移ろい(11月)


霜始降(しもはじめてふる)[10月23日ごろ]
秋が深まり、初霜が降りはじめる。
→ 外の光が薄れ、静かな気が流れはじめる。

霎時施(こさめときどきふる)[10月28日ごろ]
時雨がしとしと降り、もの思いが深まる。
→ 心の奥の感情がしずかに表面化する時。

楓蔦黄(もみじつたきばむ)[11月2日ごろ]
山々が紅葉に染まり、風が冷たくなる。
→ 美しさの頂点で、ひとつのサイクルが終わりを迎える。

山茶始開(つばきはじめてひらく)[11月7日ごろ]
寒椿が花を開き、凛とした空気が漂う。
→ 寒さの中にも生命のあたたかさが宿る。

地始凍(ちはじめてこおる)[11月12日ごろ]
朝晩の冷えが増し、地面が霜でかたくなる。
→ 外の活動が止まり、内に籠る時期の始まり。

金盞香※(きんせんかさく)[11月17日ごろ]
きんせんかの香が風にのる。
→ 冬の兆しの中に、清らかな希望の香り。

虹蔵不見(にじかくれてみえず)[11月22日ごろ]
陽の光が弱まり、虹が見えなくなる。
→ 光が「外」から「内」へと帰るとき。まさに灯のひそみ。

※金盞香
キンセンカサク、あるいはキンセンカコウバシと読みます。この「金盞香」。キンセンカであるという説と水仙である説があります。両者の言い分はそれぞれ面白いのですが、もっと面白いものがあります。
「金盞香」は実は 日本独自の改暦で置き換えられた候で、中国の原典・宣明暦(せんみょうれき)ではその位置・・・つまり 立冬の末候 は——

「野鶏入水為蜃(やけいみずにいってしんとなる)」
「野の鶏が水に入りて蜃となる」

なんです(笑)さらに意味不明ですね。

この蜃(みずち)とは、伝説上の巨大なハマグリのような霊獣で、蜃気楼(しんきろう)を起こすとされた瑞龍の類です。
つまり、鶏(陽)→蜃(陰)への変化で、季節が陽から陰へ完全に切り替わることを象徴しています。

つまり、中国では「光(陽気)が沈み、水の底に潜る」という陰陽転換のサインの候だったんですね。

それを日本がどうアレンジしたかというと、日本は明治以前、平安期に宣明暦の七十二候を和風化していく過程で、土地の風土や自然に合わせて
「野鶏入水為蜃 → 金盞香」へと置き換えました。

なぜかというと、日本では野鶏が蜃になるなんて現象が見られない(笑)
中国では見られたのか!という話になりますが、そこはおいておき・・・
光が沈み、香りが立つという象徴なら近い、それを冬に咲く花のイメージに託したというわけです。

つまり、「金盞香」は、
陽が沈み、陰が香りたつ=天地の気が裏返る瞬間を詩的に日本語で翻訳した表現なんです。

天体・星空イベント

北タウルス座流星群(Northern Taurids)
11月12日ごろがピーク。暗めの流星群だけど、夜空の静けさが増すこの頃なら雰囲気出そうです。

しし座流星群(Leonids)
11月17〜18日あたりにピーク。月の明るさなど条件次第だけど、夜が長くなる11月なら「空の灯がひそむ」テーマにもリンク。天王星(Uranus)の観察好機…11月21日あたりが「天王星が観察に好適な時期」という記述あり。

◆ からだの整え

夜が長くなり、陽の気が沈むこの時期、体もまた「内側を温め、守る」方向へとシフトします。
日照時間の減少でセロトニンが減り、気分が落ちやすくなるので、光と香りで心身のバランスを取るのが鍵。

整えのポイント

温養:冷えをためない。朝の白湯、根菜やスープ、みそなど「陽を内に取り込む食」を。

香養):柚子・生姜・シナモンなど、体を温める香りを暮らしに。

静養:無理に動かず、早寝早起き。夜はゆっくりと灯りを落として、副交感神経を整える。

呼吸:寒さで浅くなりがちな呼吸を、意識的に深く。夜のストレッチやキャンドル瞑想もおすすめ。

ハーブ・食材メモ
・ゆず・しょうが・ねぎ・れんこん・にんじん
・黒豆茶・なつめ・シナモン
・温かいスープ、発酵食品

◆ 暮らしの知恵

  • 灯(あかり)を調える
    白い照明より、少しオレンジの灯りへ。
    日没後の部屋を“夕暮れ色”にして、体内時計を穏やかに。
    行灯やキャンドル、塩ランプなどもよき相棒。
  • 衣を重ねる
    コートを出す前に、まずは首・足首・おなかを守る。
    「三つの首」を温めると、気の巡りも心の安定も変わる。
  • 香りで気を動かす
    柚子・ひのき・白檀など、清らかで落ち着く香りを部屋に。
    “金盞香”の季節、香りは光のかわりに心を明るくする。
  • 保存と仕込み
    旬の根菜や果実を使って、味噌・甘酒・シロップなどを仕込む。
    手を動かし、発酵や熟成の「待つ時間」を暮らしに取り戻す。
  • 火のある場所をつくる
    小さな炎が、冬の気配を和らげる。
    コンロで煮込み、キャンドルを灯し、湯気を愛でる。
    火を見る時間は、心を鎮め、思考を深める時間。

◆ 運のめぐりと願いごと

・「整理」「感謝」「沈静」の気が高まる月。
 過去数か月で得たものを整え、不要な縁や習慣を手放すことで、
 運の通り道が静かに清まっていく。

・沈黙の運が動く。
 見えないところで運の流れが準備を始める。
 焦らず、「信じて待つ」が最良の動き。

・五行では「金」から「水」への転換期。
 金は実りと収穫、水は感情と直感。
 つまり、形になったものを手放し、心で受け取る流れ。

・「来年に向けて、どんな光を灯したいか」を描く。
 すぐに叶える願いではなく、冬のあいだに熟す願いを。

・日暮れ時に灯りをひとつつけて、小さな声で「ありがとう」と唱える。
 それがこの時期の最高の開運法。

・「祈り=気を整えること」と心得て、祈ることで自分の中心を静かに整える。

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